練習飛行隊, 教育飛行隊, 錬成飛行隊



戦局が苛烈になってきた昭和十八年九月頃策定された「昭和十九年度航空時局兵備案」において、 操縦者の大量養成のため操縦者教育体系の改革が図られた。これにより操縦者教育は従来の教育飛行聯隊を主体とした 教育に替えて以下のように三段階の部隊教育によって行われるようになった。  これに伴い必要な練習飛行隊・教育飛行隊・錬成飛行隊が昭和十九年初頭から多数編成された。  (教育飛行聯隊は教育飛行隊に改変された)

操縦基本教育    : 練習飛行隊にて (教育期間4ヶ月)
分科戦技基本教育 : 教育飛行隊にて (教育期間4ヶ月)
分科戦技錬成教育 : 錬成飛行隊にて (教育期間4ヶ月)



【練習飛行隊】
飛行兵教育の基本操縦教育は練習飛行隊で実施された。教程は4ヶ月である。第五五航空師団長隷下の第二(独立第一〇七教育飛行団) ・第三(独立第一〇八教育飛行団)・第五練習飛行隊(独立第一〇一教育飛行団)・第一練習飛行隊(独立第一〇六教育飛行団) の編制表要約を以下に示す。 第三練習飛行隊は昭和十九年軍令陸甲第九四号(昭和十九年七月二十五日)により独立第一〇八教育飛行団編合への編入を 下令されたが、南方への移動は実戦部隊が優先されたため編成地の仙台から動くことができなかった。

第二・第三・第五練習飛行隊編制表要約
( )は隊数
大(中)佐 一 本表ノ外動員業務ノ為本部ニ尉官一名及准士官・下士官
   又ハ判任文官(雇員)2名ヲ増加ス
二 本表ノ外教育隊ヲ通シ警備要員トシテ尉官3名、
   下士官6名及兵150名ヲ増加ス
本部39
教育隊589(3)
予習中隊130(2)
編制定員758
昭和十九年軍令陸甲第九四号附表第一三

第一練習飛行隊編制表要約
( )は隊数
大(中)佐 一 本表ノ外動員業務ノ為本部ニ尉官一名及准士官・下士官
   又ハ判任文官(雇員)2名ヲ増加ス
二 本表ノ外教育隊ヲ通シ警備要員トシテ尉官4名、
   下士官8名及兵200名ヲ増加ス
本部39
教育隊786(4)
予習中隊168(2)
編制定員993
昭和十九年軍令陸甲第九四号附表第一三

 練習飛行隊一覧


【教育飛行隊】
練習航空隊で基本教程を終えた訓練生は各分科に分かれ、教育飛行隊で高等練習機により各分科戦技基本教育を実施された。 教程は4ヶ月である。 教育飛行隊の編制定員を以下に示す。編制定員は分科により異なっていた。 ここで「遠爆」というのは四発重爆の陸軍呼称である。海軍の一三試大型陸上攻撃機「深山」を換装したキ68の開発が計画されたが、「深山」開発は失敗に終わったため、 この時点では四発重爆の実用化の目処は立っていない。

教育飛行隊編制定員
分科司偵
*1
軍偵
*2
戦闘
*3
軽爆・襲撃
*4
重爆・遠爆
*5
挺進(飛行)
*6
少佐隊長 1隊長 1隊長 1隊長 1 隊長 1隊長 1
大尉
中(少)尉16
副官 1
16
副官 1
17
副官 1
17
副官 1
16
副官 1
16
副官 1
准尉15141718 1919
曹長28263033 3535
軍曹(伍長)37344043 4747
177183204202 200200
兵科 計276276311316 320320
航技尉官
航技下士官
兵技下士官
主計尉官
主計下士官
経技下士官
軍医尉官
衛生下士官
衛生兵
各部 計19
合計295295330 335339339
一 本表ノ外空中勤務修行中ノ将校、見習士官、下士官、少年飛行兵及下士官候補者150名以内ヲ増加スルコトヲ得
一 本表ノ他警備要員トシテ尉官1名、下士官3名、兵50名ヲ増加ス
*1 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一一
*2 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一二
*3 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一三
*4 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一四
*5 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一五
*6 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表第一六


教育飛行隊の兵特業を飛行戦隊と比較して示す。ともに昭和十八年陸亜機密第五一二号(昭和十八年十二月二十七日)による。 戦闘分科については中隊編制が廃止されたので戦隊全体の人員数であるが、その他の分科は中隊分を3倍している。 飛行戦隊は空地分離を行って飛行場大隊を分離しているが、比較のため同陸亜機密に示された整備中隊・警備中隊の兵特業も示す。 教育飛行隊の整備要員は概ね飛行戦隊と同等で、人員は不充分ながら警備中隊の業務も担任していたことが分かる。これは次項の錬成飛行隊も同様である。 整備要員数から、教育飛行隊は戦闘整備については飛行戦隊とほぼ同等にこなしていたことが分かる。中間整備については近傍の飛行場大・中隊、独立整備隊等の 支援を得ていたようである。

兵特業区分
戦闘(単)重爆司偵飛行場大隊
教育飛行隊飛行戦隊 教育飛行隊飛行戦隊 教育飛行隊飛行戦隊整備中隊警備中隊
兵編制定員20417520070×3 17762×3100221
機関工手80867238×3 6037×360
計器工手4×3 4×3
電機工手145×3 4×3
金属工手1×3 1×3
武装工手2810×3 6×3
写真工手2×3
無線通信手1618216×3 184×324
無線機関手
有線無線手
暗号手 12
気象手
瓦斯手 12
高射機関砲手 32
軽機関銃手 10
自動車手2224 202045
其他4420444×3 446×31365
縫工兵 ケ3ケ3
装工兵 ケ3ケ3


 教育飛行隊一覧


【錬成飛行隊】
教育飛行隊で各分科の基本教育を終えた訓練生は錬成飛行隊で錬成教育を受けた後、実戦部隊に配備された。 教程は4ヶ月である。戦局が悪化するにつれて、戦闘分科の錬成飛行隊は防空任務に投入されたことも多々あった。 錬成飛行隊(分科:戦闘・司偵)の編制表を以下に示す。昭和十八年軍令陸甲第一二〇号(昭和十八年十二月二十七日)は外地向けの部隊の編成を令したもので 警備のための増員がある。また、内地向けの部隊は昭和十八年軍令陸甲第一二〇号(昭和十八年十二月二十七日)により編成を令された。

錬成飛行隊編制定員(軍令陸甲第一二〇号ニヨル)
分科司偵
*1
戦闘(単)
*2
戦闘(双)
*3
中(少)佐隊長 1隊長 1隊長 1
大尉2<
中(少)尉18
副官 1
19
副官 1
20
副官 1
准尉211827
曹長383450
軍曹(伍長)514566
213238264
兵科 計345358431
航技尉官
航技下士官
兵技下士官
主計尉官
主計下士官
経技下士官
軍医尉官
衛生下士官
衛生兵
各部 計191921
合計364377452
一 本表ノ外空中勤務修行中ノ将校、見習士官、准士官・下士官、少年飛行兵
   及下士官候補者200名以内ヲ増加スルコトヲ得
一 本表ノ外警備要員トシテ尉官1名、下士官3名及兵50名ヲ増加ス 
*1 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表四
*2 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表五其一
*3 昭和十八年軍令陸甲第一二〇号附表五其二


錬成飛行隊編制定員(軍令陸甲第一二一号ニヨル)−1
分科戦闘(単)
*2
戦闘(双)
*3
中(少)佐隊長 1隊長 1
大尉2<
中(少)尉19
副官 1
20
副官 1
准尉1827
曹長3450
軍曹(伍長)4566
238264
兵科 計358431
航技尉官
航技下士官
兵技下士官
主計尉官
主計下士官
経技下士官
軍医尉官
衛生下士官
衛生兵
各部 計1921
合計377452
一 本表ノ外空中勤務修行中ノ将校、見習士官、准士官・下士官、少年飛行兵
   及下士官候補者200名以内ヲ増加スルコトヲ得
一 本表ノ外動員業務ノ為、准士官、下士官又ハ判人文官(雇員)5名ヲ
   増加ス 
*2 昭和十八年軍令陸甲第一二一号附表第一四ノ二ノ一
*3 昭和十八年軍令陸甲第一二一号附表第一四ノ二ノ二


錬成飛行隊編制定員(軍令陸甲第一二一号ニヨル)−2
分科司偵
*1
襲撃(単)
*4
襲撃(双)
*5
重爆・遠爆
*6
中(少)佐隊長 1隊長 1 隊長 1隊長 1
大尉
中(少)尉18
副官 1
20
副官 1
25
副官 1
27
副官 1
准尉21182526
曹長38344548
軍曹(伍長)51456262
213240266286
兵科 計345361427453
技術部尉官
技術部下士官
主計尉官
主計下士官
経技下士官
軍医尉官
衛生下士官
衛生兵
各部 計19192121
合計364380448474
一 本表ノ外空中勤務修行中ノ将校、見習士官、准士官・下士官、少年飛行兵及下士官候補者
   200名以内ヲ増加スルコトヲ得
一 本表ノ外動員業務ノ為、准士官、下士官又ハ判人文官(雇員)5名ヲ増加ス