海洋編制師団

昭和十八年八月頃から検討が開始された絶対国防圏構想の中で主要地に配備する兵力についても検討が行われた。 これにより島嶼防衛のために「海洋編制師団」、「海上機動旅団」の編成が行われることになった。 これらは編制内に海上輸送舟艇を持ち、島嶼作戦において戦略的・戦術的な反撃あるいは増援などに任ずるためのものである。 昭和十八年から十九年にかけて以下の師団が「海洋編制師団」に改変された。 さらに第五師団・近衛第二師団も改変を構想されたが、これらは未実施に終わった。

第三六師団西部ニューギニア昭和十八年軍令陸甲第九五号
(昭和十八年十月二十日)
第四六師団スンバワ島(一二三聯・一四七聯)
硫黄島(一四五聯)
第五二師団トラック諸島
第一四師団パラオ諸島昭和十九年軍令陸甲第一〇号
(昭和十九年二月十日)
第二九師団グァム島
第四三師団サイパン島昭和十九年軍令陸甲第三九号
(昭和十九年四月七日)

米南西太平洋方面軍総司令部の調査結果


海上機動第一旅団マーシャル諸島昭和十八年軍令陸甲第一〇六号
(昭和十八年十一月十六日)
海上機動第二旅団西部ニューギニア
海上機動第三旅団幌筵島
(後に鹿児島)
海上機動第四旅団択捉島
南洋第二・第三支隊クサイ島(第二支隊)
ポナペ島(第三支隊)
南洋第一・第五・第六支隊ミレー島・ヤルート島(第一支隊)
メレヨン島(第五支隊)
パラオ島(第六支隊)
南洋第四支隊モートロック諸島


海洋編制師団の特徴は「附表第一 師団編制基準」に見られるように島嶼防衛に適するべく歩兵聯隊に諸兵科が統合されていることである。 しかし海上機動反撃に任ずる”B”聯隊が無く、要地確保反撃に任ずる”A”聯隊だけの師団は海上輸送隊を欠く。 また、戦車隊を欠く師団もあった。海洋編制師団は現地での自活を目的とした経理勤務隊を有するのも特徴の一つである。 次の表はこれを示したものである。 海洋編制師団の編成を下令した軍令は現存していないので、これらの編制は別資料に拠った。 定員・装備は師団により微妙に差異があるが、元の軍令ではこれらは同一の数字であったと考えられる。

編合部隊師    団
36D46D52D14D29D43D
歩兵聯隊A A BA A AA A BA A BA A BA A A
師団戦車隊
師団隊通信隊
師団輜重隊
海上輸送隊
師団兵器勤務隊
師団経理勤務隊
師団野戦病院


海洋編制師団が編制されるに至った経緯は以下のとおりである。


昭和十八年九月の絶対国防圏設定を受けた大陸指第一六五二号(昭和十八年九月三十日)別冊「中・南太平洋方面作戦陸海軍中央協定」により戦争指導の大綱が制定された。 これに伴い中部太平洋・豪北への防衛兵力増強が推進された。 大本営陸海軍部は中部太平洋諸島の防衛強化のため陸軍部隊を大量に派遣する場合に備え、昭和十八年十一月八日に次の「陸海軍覚書」を取り交わした。 この覚書の中で島嶼防衛部隊の編制装備について述べられているので、その箇所を示す。


Page Top

Home

© 2009-2016 MJQ
Last Update 2014/09/05